そのまま渡すと贈与税の対象に!?「子ども名義の貯金口座」に潜む落とし穴とは
今回は、子どもの貯金通帳について。場合によっては、親の財産と見なされ子どもにそのまま渡すと税金が発生することも。親御さんは、知識として持っておきたいトピックです。
子どもが小さいうちに本人名義で通帳を作って、お年玉や、入学祝い、教育資金など、それなりの金額を貯めている人も少なくないはずです。しかし、その子どものための貯蓄が親の財産とみなされて贈与税の対象となることもあります。
なぜ子ども名義で作った口座で貯めたお金が贈与税の対象なるでしょうか。預金の出どころが誰なのかを考えてみましょう。子どもの名義でも、積立をしたり入金をしている人のお金が親のお金であれば、親のお金であるとみなされてしまうからです。これを「名義預金」とも言います。
子どもがもらったお年玉は贈与ではありますが、親のお金ではないので非課税となります。
暦年贈与も方法を間違えると贈与税の対象になることも
暦年贈与とは、1月1日から12月31日までの1年間にもらう財産が110万円までであれば贈与税が非課税となる贈与のことです。つまりこの範囲内であれば、毎年贈与をしても税金は一切かからないということになります。またこの暦年贈与の範囲内であれば、贈与を受けても贈与税の申告も必要ありません。
暦年贈与の考え方からすると、親が子どもの口座へコツコツと年間100万円を15年間貯めて、20歳になったときに、1,500万円が入金された通帳をプレゼントしても非課税になると考えがちです。しかし、この方法では贈与税がかかる可能性があります。
贈与税がかかるケースとしては、上記を例にすると子どもが毎年100万円の贈与を受けている認識があったかどうかです。つまり親がよかれと思って子どもの知らないうちに預金口座を作成して、毎年暦年贈与の範囲内で積立てていたとしても、子どもにその認識がなければ贈与税の対象となるのです。
とは言え小さなお子さんの場合、その贈与を認識するのは現実的ではありません。暦年贈与をする際は、「贈与契約書」を毎年作成し、交わして書面を残すことが大切です。
しかし贈与を受ける子がまだ幼く、自分で署名捺印できないこともあります。そのときには親権者が法定代理人として代わりに署名します。親権者が書いた名前の下に『親権者◯◯が代筆』と書き添えましょう。
用途によっては非課税にすることもできる
教育資金の一括贈与制度を利用する
親や祖父母から30歳未満の子や孫へ「教育資金」を非課税で贈与できる制度です。非課税限度額は、受贈者(財産をもらう人)1人につき、1500万円(学習塾など学校以外への支払いは500万円)です。
結婚・子育て資金贈与
20歳以上50歳未満の人が父母や祖父母などの直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受け、受贈者が50歳に達するまでに支払った結婚・子育て資金は最大1000万円まで贈与税がかかりません。
上記いずれも金融機関の窓口で親やさ祖父母は贈与した資金の管理契約を金融機関と結び、子や孫名義の口座に一括で入金します。教育資金の場合、子や孫は教育資金の領収書や請求書を提出することで、贈与税非課税でお金を引き出せますが、目的外の引き出しには贈与税がかかるので注意が必要です。子や孫が未成年の場合、親などの保護者が手続きを行います。
結婚・子育て資金の場合は、取扱金融機関の営業所等を経由して結婚・子育て資金非課税申告書を提出することにより贈与税が非課税となります。
住宅取得等資金の贈与
20歳以上である人が父母や祖父母などの直系尊属からマイホームの購入資金やマイホームのリフォーム資金の贈与を受けた場合、省エネ等住宅の場合には1000万円まで、それ以外の住宅の場合には500万円までの住宅取得等資金の贈与が非課税となります。
非課税の特例の適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、非課税の特例の適用を受ける旨を記載した贈与税の申告書に戸籍の謄本、新築や取得の契約書の写しなど一定の書類を添付して、納税地の所轄税務署に提出する必要があります。
子ども名義の口座を作るときの注意点
・子ども名義の通帳は親が代理人として手続きをする
・印鑑は親のものとは別に子ども専用の印鑑を用意する
・子どもが理解できるようになったら通帳の存在を話しておく
子ども名義の口座を親が作る場合、子どもの年齢要件などがあり、金融機関によって異なります。口座を開設したい金融機関で未成年口座を開設する旨を伝えて確認をしましょう。
また、親が使っているものと同じ印鑑で子どもの口座を作って、通帳と印鑑を親が管理していた場合、親の「名義預金」とみなされてしまいます。私自身、子どもの預金口座を開設するときは、子どもの下の名前を印鑑にしたものを使いました。
子どもがお金に興味を持ったり、理解できるようになったら通帳の存在を話しておき、さらに自分で管理ができるようになったら、通帳やキャッシュカード、印鑑を子ども本人に管理させるようにしましょう。
今回紹介した制度は、さらに細かい要件などもあるので、わからないときはお住まいの地域を管轄する税務署や税理士へ相談するとよいでしょう。